岡田准一主演映画『追憶』感想

2017年作品

2017年作品。岡田准一主演映画。 …小栗旬とW主演と書いても良さそうだが…?そんな2人の共演作。

故降旗康夫監督作品。

この映画、上映時の映画館スタッフ時にスクリーンチェックで何度もオープニングと言うか冒頭シーンを見ましたが、くっらい作品だな…と思って見なかったんですが。勿論、岡田くん主演映画はなるべく見たいですけどね。

 今回、見たのは特殊な場所でした。常連のお客さん宅で拝見しました。いや、仕事中に2時間流れてただけといったらそうなんですが。一緒に座って見たわけでは無いです。 仲良いと言うか付き合い長くなったお客さんですが、いつもワイスピみたいなアクション系を好んでるかたです。

珍しく、邦画を見てらっしゃった。暗いけどたまたま見た…とは仰ってました。確かにアマプラで冒頭の殺人シーンを見てしまうと続きが気になりますよね…。うん…。

暗い作品でしたが、個人的にはツボなシーンもあったので、さっそく、あらすじと感想を書いていきましょう…。 ちなみにウィキペディアで調べたら、同年に洋画で似たタイトルの“追想”もあるのでややこしいですよね。

映画『追憶』(2017年邦画)あらすじ

1992年冬の能登半島、親に捨てられた少年・施設から逃げ出した少年・家出の少年…3人が、軽食喫茶“ゆきわり草”に通い、喫茶店を営む仁科涼子(安藤サクラ)と常連客の山形光男(吉岡秀隆)と家族の様に暮らしていた。 

しかし涼子のかつての恋人、貴船(ヤクザ?チンピラ?)が現れそのささやかな幸せな生活は崩壊する…。少年達は貴船を殺す計画を立て、刺す。 涼子はその凶器を取り上げ、貴船にトドメを刺し、「今起こった事は忘れて2度と会わない、これからは赤の他人として暮らすんだ」と。

 それから25年後、悟(柄本佑)は婿養子になり硝子屋になっていた。娘と妻を守る父だが経営は厳しく全国を回って仕事をしていた。社員をも養うのを頑張っていたが、金策で娘にも気を遣われる日々。

また、啓太(小栗旬)は富山で土建屋、妻は妊娠中で家を持ったばかり。

篤(岡田准一)は刑事になっていた。結婚をしているものの妻(長澤まさみ)とは上手くいってない不器用な男。幼い頃篤を捨てた様な実母に金をせびられる日々。 

 篤と悟は富山で偶然に再会し、悟は金策をしているとは酔っ払いながら少し話しつつも、暗い話題を振らないように酒を呑みまくり明るく“あっちゃんと再会出来て良かった…”と話す。悟は啓太にも会ってると聞き、篤は動揺する。帰り道、篤は僅かなお札を渡して、別れた。

 翌日、富山の漁港で遺体が発見され、県警は怨恨と事件と事故の両面で調査する事に。 篤は死体を見て、珍しく吐き気がし先輩に心配される。その遺体こそ前日に篤が会った悟なのだ。 その事実を刑事ではあるが過去の事件もバレるかもという恐怖から篤は黙っている。

 篤は調査する内に啓太を訪ね、金策をしていた悟が訪ねてきたろう?と問いただす。 悟の遺体の側には“あんどの里”と書かれた封筒が側の落ちていたと。 中は空ではあった、篤は慶太が悟にお金を渡していたのではと思って尋ねた。

啓太は新聞で悟の死は知っていたが素っ気ない。 篤は“あんどの里”を調べ向かうと、そこには車椅子の涼子と光男がいた。篤は影で見る事しか出来なかった。

篤は悟と前日会っていたと他の刑事に突き止められ、先輩刑事に何故、言わなかった?と疑われる。篤は、悟は昔の知人で自分が疑われるのは怖かったと話す。そして悟が喫茶店で会っていたと言う男の似顔絵を見せられ、その似顔絵は啓太だったがそれも知らないと篤は答える。

 篤は再び、“あんどの里”に向かい、光男に声を掛けると、涼子は3年前事故に遭い、記憶も曖昧だったと。 

その頃、啓太には警察がマークしており、ずっと監視が付いていた。悟の着歴から啓太が浮かび、悟に渡したであろう400万円を銀行から引き出す啓太が銀行のカメラに写っていた。

篤は他の刑事の目を掻い潜り、啓太に接触。悟に会っていた事を問い詰める。 その時、啓太の妻が産気付き倒れる。3人は急いで医者の元へ。 監視に付いてた刑事は様子を見つつ、病院に着いて接触。篤の勝手な行動に激怒するが、そこに一本の電話がかかってくる…。

『真犯人が捕まった』…と。

映画『追憶』感想

本当に本編、チラ見してたり聞きつつ仕事中に映画が流れている状態で映像を見れてない場面もあったけど、篤役の岡田准一が涼子を迎えにきた光男を影から見てるシーンはなんとも言えない表情で、まるで‘姑を遠くから見て恨みがましく見てる嫁’の様に見えたのがウケた。

 それはそうと、過去の少年達の事件に関わった事をバレやしないかとビクついてる訳でも無いけど、涼子が言った“これからは他人だから”と元家族の様に暮らしてた少年達と別れる場面は、元から他人だけど…家族の様に暮らしてたのは‘万引き家族’みたいだねと思った。

いや、“万引き家族”(2018年)の映画はこの作品の後だけどね。

啓太の妻 真里こそ、涼子の子供で刑務所の中で産み、里子に出されていたのだ。啓太はその真理に仮の母親 涼子を感じて結婚したのかな…。 啓太は“ゆきわり草”の跡地に自分の家を建てるなど、かなり涼子との思い出に身を置いているよね。

 また、篤は最初は影で見ていた涼子に最後会いに行き、夕陽を見て。記憶がない筈の涼子は篤を抱きしめて篤は身を委ねたのは、やはりあの少年時代の想い出を篤も涼子に想っている。

 少年3人共に、本当に仮の家族との思い出が糧になって生きてたんだよね。 悟は意外な犯人に殺されてしまったけども…。 この作品のテーマはミステリーを明かすよりは“家族”なんだね。

 篤が事件調査中に不出来な母に金をせびられ、さらに自殺未遂迄された時、妻に見に行ってと頼んで、妻は“私、初めて貴女の役に立った気がする”と言うけど、凄く寂しくて悲しいセリフだよね………。虚しくなった。 

ただ、篤も今後は‘普通な家庭を作ろう’と思い、妻とも向き合うんだと話すのには、長い年月がかかりようやく夫婦が出来た事に対し、良かったんじゃないかなと思う。こう言う…邦画で暗いテーマなんだが、日本人て周りにまわって遅いけど家族になっていく、和解するって事が多いのかもしれないと思った。

篤の妻だって、篤と別れたくて別居してるんじゃない…。それはさ、本当に子供ほしくて服まで買って…流れてしまって辛くて。篤の“役に立つ”事が子供だけかと誤認したのかな。 でも、本当に別居してるのに篤の母の為に、病院まで付き添うの偉い。

篤にとっても毒親で世間から見ても男に依存しお金の使いかたが下手な母で、篤には嫁の事を篤の事も思いつつ“子供産めなかったら別れて新しい人と結婚を”と言いそうな母。それを直で言ってしまうタイプの母は…素直なんだけど、オブラートに包めないから疎まれるよね。

その実母だって、嫁が病院でずっと手を握ってくれてるのが本当に-有り難かったと言う。こう言う親も人間も実際に居るよね。 親は尚更、我が子可愛さに子供の伴侶に来てくれた嫁や旦那に余計な事を想うし、何なら言う。辛い。でもそれは子供を可愛いが為なのは解るけど。

よく和解する事を、“雪解け”の様に例えられるけど、その通りだと思う…。愛情表現が回り回って変に伝わったり、人の想像以上にに変な誤解を受ける事だってあるんだ。 その誤解が解けた時には、その人は側にはいないかも知れない。 

愛情でも友情でも情は、ずっと依存してしまったり誤解を招く事もあり得ると思う。日本人てストレートじゃ無いから…。 でもオブラートに包むと伝わらなかったりもするけどね。

 妻役の長澤まさみ、やはり上手いのかな。ドラマは‘コンフェンスマン’や映画だと“50回目のファーストキス”“マスカレード・ホテル”“マスカレード・ナイト”“キングダム”位しか見てないけど、どれも違う人物像だもんな…。

冒頭とちょいちょいしか出ない光男役の吉岡秀隆くん、ずっと“男はつらいよ”で満夫役で好きだから、今回同じ名前役だから脳がバグるな…。 でもいかにも良い人って感じよね、役柄も。人柄かな。

 篤の母親役のりりぃさんてかたは、この作品を最後に作品の前年には亡くなっていたんだね…。 演技としては凄い上手いのでは。ダメ親を嫌味ったらしく演じている。 “湯を沸かすほどの熱い愛”にも出ていたんだね。

 小栗君は小栗君だった。小栗くん“ゴジラVSコング”以来かな…映画で見たの。

降旗康男監督は結構、任侠系描いてるからVシネ系なのかな…と思ったけど“ぽっぽや”も撮ってた。 色んなかたの遺作になってはしまったと思うけど、作品は残るから、女優さんりりぃさんや降旗監督のご冥福をお祈りしますと共に、この作品を遺してくれた感謝を申し上げたい。

評価 :3.5/5。

 

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映画『追憶』国内外評価

英語サイトの評価サイト、IMDbの映画『追憶』の評価は5.7/10

海外勢にはこの日本人のドロドロとした感情や世界観は理解し辛いかと思う。

日本で評価サイト、Filmarksでの映画『追憶』の評価は3.3/5

映画.comでの映画『追憶』の評価は3.2/5

あ、まぁね…日本でもウケませんかね、暗い作品ですし。犯人を考察するだけ無駄だし…ね。

コメント

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